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頑張れ東北!みちのくの光は消えず~2003.1.1

頑張れ東北!みちのくの光は消えず~2003.1.1

おもしろい話⑧

青森県の某国立大学には附属中学校があり、良家の子弟が入学する(ウソウソ)。選抜制で中学でも入試があるため、競争が激しくて、「附中 → 弘前高校 → 某国立大学」と進学する者を「弘大エリート」と呼ぶこともある(ふふふふ)。
 某国立大学のフランス語教官Aには、一人息子が居た。A氏も日本での生活が長く、息子は弘前で生まれ育ったようなものだから、日本語は当然A氏よりも上手く、ほとんどネイティブ(注1)。この息子(B君としておこう)が見事に附中に合格し、弘大エリートの道を歩みはじめた頃の話である。
 入学式のその日、B君は少し風邪気味だった。熱こそないものの、どうも朝から吐き気がして、朝食も満足に摂れない状態。「今日は休んだら」というマザー(注2)の勧めにも「せっかくの入学式だから」と、健気にも学校へ向かったB君であった。
 それにしても、校長の話の退屈なことよ。式辞というものはまあ、長いに決まっているが(こっちはほとんどまだ小学生なんだから、やたらに難しい熟語は使わないで欲しいなあ)。誰もがそんなことを思っていた矢先、あまりの具合の悪さに、B君は蹲ってしまった。体格的には小さめのB君は前の方に並んでいたし、何せ目鼻立ちくっきり、ジルベール・コクトーも真青という美少年(注3)なのである。目立つことこの上なく、式辞から顔を上げた校長の目に止まった。そこで校長の発した言葉に、列席の面々は思わず仰け反ったのであった。
校長「Hey,you. Stand up please !」(注4)
外人を見てアメリカ人と思うのは、まあ、日本人全体に共通の性癖ではあるが、いくら何でも、具合の悪そうな子どもを見て、いきなり「立ちなさい」はないだろう。同級生も、担任団も、果てはPTAの人たちも、半ば呆れた表情になった次の瞬間。B君の呟きが会場内に響いた。
B君「Stand up ! って言われても、ワアだっきゃ、フランス人だはんでな」(注5)
・・・拍手喝采が巻き起こったことは、言うまでもない。

(注1)「原住民」と訳される。津軽弁の「ジモティ」と同義語。
(注2)漢字では「海」の中に「母」があり、フランス語では「母」(mere)の中に「海」(mer)がある。うーむ、深い。
(注3)竹宮恵子『風と木の詩』の主人公の一人。6月14日の日記を見てチョーダイ。
(注4)標準語だと「おい、君。立ち給え」。 津軽弁だと「おい、な。ただなが」。
(注5)「立てって言われたって、僕は、フランス人なんだけどナア」


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